蝋スライム少女になったけど特に悪い気はしない

お題である『蝋スライム・固め・メガネロリ』から作り上げたもの。
お題があると便利だね。自分で考えなきゃいけないんだけどもついつい頼ってしまう。
メガネは外そうかと迷ったけど、各メガネ保護団体からのバッシングもありそうだったのでメガネ外すのもなぁという点から外してません。メガネスライムもありだと思うんだ。
そして知らず知らずに濃厚な百合になってしまったが、まぁいいよね。
本文は続きからどうぞ。


 題名:蝋スライム少女になったけど特に悪い気はしない
「何でこうなったのかなぁ……」
 姿見の前でスライム少女が頭を抱えて悩んでいた。
 この少女、美袋・奈月(みなぎ・なつき)は最初からこのような姿ではなく、元はまともな人間の少女だった。しかし、朝起きてみるとこのような白濁とした粘液で構成された怪物に変わっていた。
 その原因を探るには昨日の放課後にさかのぼる必要があった。
「じゃあねー、ピカちゃん」
「そんじゃねー」
 ピカちゃんこと奈月は授業が終わり、学校から帰宅する最中だった。ここまでは何事もなかった、怪しい人もいないし、トラブルもなかった。
 寒さも出はじめて長袖になった制服と吊りスカートが風に揺れる。そんな秋晴れの空を眺めてたそんな時、彼女は前方から衝撃を受けた。
「あいたっ!」
「あたた、ごめんよ君。大丈夫かな?」
「あぁ、大丈夫です。私もよそ見してたし」
 転倒までは行かなかったものの、ずれたメガネを直す奈月。
「ならよかった。じゃぁ急いでるから」
 ブラックスーツ姿のやせ男は詫び、そそくさと退散する。『忙しいのだろうか』と考えながらもスカートを払う奈月の目の前には袋状の物体が落ちていた。
「なんだろうこれ」
 拾い上げてみると粉薬――というよりも、ヨーグルトについてくる粒状砂糖にも似ている。
「あの人が落としたものかな。でも早く帰らないとまずいし……」
 少し悩んだ末、奈月はこの袋を明日警察に持って行くことにした。そう、それがまずかったのだ。
「で、これが、こうなって……。なんで寝ぼけてヨーグルトにかけちゃったんだろう」
 そして今日、寝起きだった彼女はヨーグルトに拾い物をかけてしまい、そのまま食べてしまったのだ。本来かけるはずだったコーヒー牛乳の素は今も未開封のままカバンの中に入っている。
 そして学校の準備をしに2階に上がると、このようなスライム姿に変わっていたのだ。やってしまったことは仕方ないとはいえ、奈月は自分の間抜けさと状況のひどさに頭を抱えるのであった。
「まぁ後悔しても仕方ないよね、はぁ」
 ひとしきり後悔したあと、奈月は変わった体をいろいろ確かめてみることにした。
 粘液状――いわゆるスライムのようになった体はモノのように固くできるのはもちろん、液体のように体を沈めることもできる。
 奈月が体に力を入れるとツルツルの肌触りになり、脱力すると水のように体が広がっていく。
「変に気を抜きすぎると危ないよねこれ」
 人前で溶けたりしたら都市伝説か怪談の仲間入りだ。普段から『どこか抜けている』と言われている奈月は、いつも以上に気合を入れる。
 次に、肌に絵の具を塗ってみることにした。『硬いのであれば色も塗れるだろう』と考えたが、思った以上に気分が良くない。
「なんだか、混ざり合っててグラグラしてくる……でも塗れるには塗れるかな」
 粘液状になると蝋粘液の白と混ざり合い、色が薄まっていく。それでも濃く塗れば大丈夫だろう。全身を元の顔色に近づけるように塗った後、上から服を着る。
「そのまま服を着ても濡れたりは――は、ハクシュン!」
 繊維が全身をくすぐり、思わずくしゃみをする奈月。飛沫は手を突き抜け、壁に飛び散った。
「うわ、壁が汚れたら掃除が大変」
 慌てて拭き取ろうとした奈月だが、ここであることに気づく。飛んだしぶきがパリパリの蝋に変化し、壁を点々と覆っていたのだ。
「もしかして、これって体液で固まるとか?」
 恐る恐る指先に力を込め、机を指す奈月。すると最初はしずく程度しか出なかった液体は、徐々に糸を引いて机に落ちていく。薄白の粘体がかかった机は徐々に白く変色し、1分もしないうちに硬化した。
「すごい。これって、もしかしたら……人にもいけるんじゃないかな」
 できることが増えると邪な考えも頭をもたげてくる。実を言うと奈月には一線超えた感情を持つ相手がいる。
 富良野・美汐(ふらの・みしお)。彼女の同級生で、さわやかなセミロングの奈月とは対照的にしっかりとした三つ編みが特徴的なメガネ少女。つまりメガネ仲間だ。
 普段は友人として付き合っているものの、美汐の見せる行動の数々は奈月にあらぬ意識を起こさせてしまうものばかり。それだけに奈月は初めて、この姿になったことを言葉に出さず感謝した。
『これで、美汐ちゃんをお持ち帰りできる!』そう思う中、奈月は強烈な全身の渇きを覚えはじめた。
「これはアレかな、粘液を出した分だけ水分が取られてるのかも。とりあえず先に水飲も」
 動きにくい体を引きずるように動かしつつ、奈月は台所へと水を飲みにむかった。
「さて、学校に来たもののどうしようかな」
 かばんを持ち、体に食い込ませながらも制服を着て学校に向かった奈月。
 このまま授業をうけるのもいいが、はた目から見て顔色が悪そうに見えるので教室には入りにくい。
「とりあえず保健室――だろうね。休むって言ったことだし」
 校門を抜け、下駄箱で靴を履き替える奈月。そこに聞き慣れた声が聞こえてくる。
「おっ、ピカちゃんじゃん! 今日休んだんじゃないのか?」
「うん、ちょっと忘れ物を取りに」
「なんだよー、それだったら私に頼めばいいのに!」
 そう言うとショートカットの彼女――日田・天音(ひた・あまね)はぎゅうと抱きしめる。これは天音のクセみたいなものだが、今はあまりよろしくない。
「ひゃぁ!ちょっと、今はダメ――」
 思わず目を閉じると、奈月の耳に『ぶしゃっ』という破裂音が数回にわたって響く。さっきまで明朗に声を上げていた天音の声も聞こえなくなる。
「……天音ちゃん?」
 何が起こったのかわからないまま沿って目を上げると、そこには抱きついたまま顔をしかめた状態で白く固まっている、天音の姿があった。オレンジのショートカットも、まだ夏仕様の制服も真っ白に染まり、抱きつきつつも驚いた姿のまま蝋の彫刻と化していた。
「どどどどうしよう。このままじゃ動けないよ!」
 大慌てで抜けだそうとする奈月だが、体を緩めると下着が次々と体内に沈み、制服も食い込んでいく。それと同時に天音の体も奈月の中に沈んでいく。
「飲み込んでる……ええい、もう知らないんだから」
 そのままスライム状の体が天音の全身を飲み込むと、白濁とした体によって天音の姿は見えなくなり、多幸感にも似た満足感が奈月を包む。
「んん……なんだかいい気分。でもちゃんと出せるかな?」
 少し不安になりつつも、天音を飲み込んだことがバレたら一大事では済まない。奈月は服を吐き出し、急いで保健室へと向かった。
「なるほど、忘れ物ね。それにしてはずいぶん顔色が悪いようだけど」
「あはは、まぁ風邪……だと思いますし」
「だったら寝てなさい。先生が取りに行くから」
 奈月の肌は白みがかっているが、まだ人間に見える程度には色づいていた。もちろんその体内に天音を飲み込んでいることなど誰が知るものか。
「とりあえず、この時間を狙っているかどうか……うぅ、気持ち悪い」
 服も体内の粘液で湿り、下着に至っては張り付いている。それでも教室ではなく保健室を選んだのには理由があった。
「おーい、大丈夫……うわ」
 美汐は体が弱く、たびたび保健室で寝ている少女だ。それを見越してメールで確認をとり、保健室にいることを確かめておいたのだ。
 とはいえ、寝ている美汐の姿は制服が乱れ、肩ヒモがずれている始末。おまけにスカートも若干まくれ上がっている。お世辞にも礼儀のいい寝方とは言いにくい。
 そう、美汐は『知らぬ間に誘うような行動ししてしまう』少女なのだ。そのため男子からもやらしい目で見られることもしばしばだが、そのたびに女子が守っているという構図が成り立っている。
 だが、守るべきはずの少女を毒牙にかけようとする。バレたら間違いなくただでは済まないのに、なぜか興奮が止まらない。
「ん、んん……」
「美汐ちゃん、大丈夫?」
「……んぁ、おはよう、ママ」
「へ?」
 ぼんやり顔の美汐はおもむろに顔を上げ、顔を近づけた奈月の口に自分の唇を付ける。
「~~~~~!!!?!?」
 思わず全身は硬直し、派手に転倒する奈月。
「ちょっと、保健室で暴れないの!」
「ひぇ!? そそ、そういう意味じゃなくて」
「きゃっ! ちょっと美袋さん、やめ――」
 手をブンブン振り回して否定する奈月だが、その視線の先で何が起こってるのか気づいてない。落ち着きを取り戻して先生の方を向くと、先生は驚いた表情で真っ白に固まっていた。振りまきながら固めたせいか、ドロドロな上に不揃いな固め方になってしまった。
「……やっちゃったかぁ」
「あの、ええと……」
 奈月は『あっ』とした表情で美汐を見る。そこには対応に困ったかのような表情で目の前の光景を見ていた美汐の姿があった。
「……ええと、私だけどわかるかな?」
「奈月……ちゃん? メガネと顔つきだけだけど」
「顔つき――うわ、色がもうなくなってる」
 手鏡を見ると絵の具が抜け落ち、真っ白な顔になっている。制服も乱れ、水分でぐっしょりと濡れて張り付いていた。
「……ごめん」
「ごめんって、あー、えぇと、さっきの?」
 こくこくとうなづく美汐。
「その、ママといっつもやってるから、つい……」
 たまに聞いていたが、まさか本当な上、このような姿でもう一度やるとは思わなかった。
「まぁあれだよね、さっきのはノーカン、ノーカンで」
「……初めての、キス」
 おかしい、同性なのに胸が高鳴っている。それに何処かですぐにでも襲って、飲み込んでしまいたいとも考えてしまっている。それを抑えることなんて――今の奈月にはできなかった。
「ねぇ、もう一度キス、してもいいかな」
「え?」
「私もその、ドキドキしちゃって……ダメなら諦めるけど」
 少し怪訝そうな目で奈月を見る美汐。内心を見透かされているような妙な気分もあったが、その目は次第に柔らかく、受け入れるように変わっていく。
「私も、ちょっとだけしてみたかった……奈月ちゃんと、キス」
「……こんな姿でも?」
「うん」
 再び、今度は互いの意思をもって唇を交わす。体をくっつけ、ベッドにのしかかるように粘体を美汐に押し付ける。奈月は美汐の唾液を吸収し、代わりに粘液を塗りつけていく。
「ん、ん……ねぇ、奈月ちゃん」
「ぷはっ、なに奈月ちゃん。あたし、もうのどが渇いて我慢できないよ」
「先生みたいに、私も固めちゃうの?」
 そう言われ、奈月の顔が歪む。美汐にはやっぱりウソは付けない。自分のやること――保健室で襲うことも織り込んでいるのだろうと思うほどに、見透かされていた。
「……本当は襲えたらいいかなって思えてたけど、なんだかすごくドキドキして、このまま持って帰りたいって、思えてきた」
「奈月ちゃんって、意外と肉食系なんだ」
「う、まぁ、ね。……ねぇ、いいかな。キレイに固めるし壊したりもしないから」
 焦れる奈月を尻目に美汐は少し言葉溜め、焦らすように待たせ、口を開く。
「いいよ。でもちゃんと、戻してね。奈月ちゃんの気が済んだらでいいから、絶対。でないと――」
 そのあとの言葉を待たぬまま、奈月は再び唇を交わし、美汐の口の中へ粘体を差し入れていく。
「(んうっ、口の中がカラカラになっちゃう)」
 すすり、這いずるような音とともに舌を、口内の唾液を飲み干していく奈月の体。メガネのズレも意に止めぬまま、理性とは相反する獣性を露わにするかのように体を押し付け、体から新たな腕を生やして美汐をホールドしていく。
「おいしい……喉乾いてたから、すごくそんな気がする」
 顔を離し、肩ヒモのズレを直しながら平らな胸を、なだらかに膨らんだ下腹部を愛撫していく奈月。
「青の下着も見えてないのにわかっちゃう。でも、あまり濡らしたくない……かな」
「な、奈月ちゃんさすがに恥ずかしい……っ、ん、くぅ。なんだか体がこわばってる」
 撫ぜられた場所から粘液が固まっていき、徐々に薄く、着実に蝋が塗られては固められる。
「ねぇ、飲み込むよ、飲み込んちゃうよ。もう美汐ちゃんを私のモノにしちゃうよ」
「約束、守ってよね。わたし、奈月ちゃんのこと――」
 奈月と美汐の体が重なり、奈月の体が膨れて体色が薄くなる。その体内では囚われた美汐の方だが徐々に真っ白に変色し、人の形をした蝋人形へと変わっていく。全身を包み込んでいるためか、美汐がムラなく固まっていくさまを奈月は全身で感じ、興奮と多幸感が全身を駆け巡っていく。
「ひゅ、すごい、天音ちゃんを飲み込んだ時より、ずっと、ずっとキモチイイよぉv」
 次第に奈月の体色も元に戻り、飲み込んだ美汐の姿は消えていく。それでも駆け巡る快楽はとどまることなく、保健室のベッドの上で奈月は気が落ち着くまでもだえ続けた。
「んぅ、んんんんっv」
 その後、保健室の裏口から学校を抜けだした奈月は家に戻った。幸い人気の少ない通りを通ったためバレはしなかったが、何人かは気づいてみて見ぬフリをしてくれた。
 家に戻った奈月は力を込めると、飲み込んだ天音と美汐。そして制服なども吐き出していく。特に2人は大きかったか、吐き出すのも力を込めてゆっくり出していくこととなった。
 天音は抱きついたままバランスが悪そうに固まっていたものの、なんとか直立できる姿になっていた。動きがあって彼女らしい固まり方ではあった。
 一方美汐は寝たままで固めたため、立てようとすると倒れてしまう格好になってしまった。インターネットでたまに見る、抱きまくらのイラストのように手を伸ばし、安堵と快楽が入り混じったの表情で固まった美汐。三つ編みとメガネ、そして制服もそのまま真っ白に固まっていた。
 制服も蝋でコーティングされてしまい、このままでは着ることもままならない。それ以前にもう学校に戻れるかも怪しい。
 そう考えた時、奈月の心は快楽の奔流に耐えられなくなってしまった。
「もっと、もっと固めたり飲み込んだりして気持ちよくなりたい。そのうち戻れるかもしれないし、もっと、気持よく……」
『気持ちよくなりたい』という願望はとどまることを知らず、奈月は人間らしさを手放していく。その背徳的な行為をとがめる者は、今の彼女には1人もいなかった。
「あああああぁぁv 美汐ちゃん、美汐ちゃんを飲み込むの、気持ちいいv このまま体の芯まで私の蝋で固めてしまいたいのにぃ……」
 粘液の腕を伸ばし、不定形の下部から差し込むように寝転がる美汐の蝋人形を飲み込んでいく奈月。そのたびに彼女の妄想と情事のひととき。そして親友を侵すという背徳感が快楽となって幼い体に叩きこまれていく。
 とがめる者は1人もいない。しかし、奈月は美汐との約束を守り続けるだろう。それすらも快楽の材料となるのだから。
 美汐の蝋人形を飲み込み、満足そうに体を揺する奈月。
「ここなら傷つかないし、私も気持ちがいいし……おまけにずっと一緒だし、ね」
 とても正気ではない言葉を告げながら、蝋スライムとなった少女は自宅から街へと降りていった。
 その日から、奈月の住む地区では子供達が次々と消えていく怪事件が起こり始めた。あるものは真っ白な蝋でコーティングされたまま放置され、またあるものは行方不明になった後、数日後に蝋人形のまま開放された。
 被害者はいずれも生きたまま戻ってきたものの、固められた前後の記憶がないため犯人の特定に至ることはなかった。
 証言の中には『白い怪物を見た』という話もあれば『スライム少女をみた』という話もある。しかしどれも都市伝説として片付けられてしまい、警察も次第にこの怪事件を野放しにするようになった。
 どのような形にしろ、確実に生還する事件が1日に何度も起きては自ずと関心は低くなる。そして次第に操作も疎かになり、”神隠し”や”都市伝説”として扱われるようになっていった。
 それでも3人の生徒は今も見つかっていない。そして怪事件は今も起こり続けている。
 快楽に溺れた蝋スライムは、今日もどこかで人々を蝋で包んでいることだろう。

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