色使いが粘土のイロクイに襲われた!

紙粘土イロクイの放った粘土に捕まった翠と城奈は、逃げることができずにもがき苦しんでいた。
「全然取れないのね―!」
「あたりまえよ、それもイロクイ。の体の一部、しかも――シロクイの身体を組み込んでいるんだから」
「シロクイの身体?」
「そう、色を吸い取るあのシロクイのね。まぁ自分の体で確かめてみなさい」
どういうことかすぐにわかった。紙粘土に包まれた部分から徐々に色が抜けていき、紙粘土は黒と赤に、身体は対象的に白化していくのがわかる。

「こ、この……」
「手も足も出ないでしょ、奴隷にしてやろうかと思ったけど気が変わったわ。このまま丸めて粘土細工にしてあげる」
やりなさい、と美奈子が告げると、粘土イロクイは手を伸ばし翠の頭を押し込む。

「むぎゅっ うぐぐぅ……」
「も、もうだめなのね……」
そのまま色が抜かれ、白化していく翠。城奈の体も真っ白になっていき、そのままうなだれるように全身が白化した。
「全く手こずらせてくれちゃって、黒い方はそうねぇ、こうしようかしら」
粘土イロクイが叩き潰すと、小さな悲鳴とともに、黒い粘土の塊が潰れ、平たくなる。そのままこね回され円柱型の台座に整えられていく。
台座には『ドラゴン』と刻印するのも忘れない。

「そして城奈は……こうするの」
美奈子がイロクイに耳打ちし、イロクイが城奈の顔を持ち上げると、鼻先を引き伸ばし、大アゴを作り、ツインテールで竜の耳を作る。さらに粘土を盛って、翼を作り、身体を作っていけば、人間の面影がどことなく残ったレッドドラゴンの完成だ。

「これを黒い台座に完成。まぁ……すぐ崩れるだろうけどね」
その言葉通り、台座に乗せるとしばらくはそのままの形を維持する2体。だが、粘土から徐々に水分が失われていき、固くなっていくと、バランスを失い始める。

「写真も撮ったし、あとは食べちゃいなさい。栄養になるでしょ」
ばきっ、べきべきと足から崩れ、壊れる城なだった竜の粘土細工。
続けてイロクイがグーパンチで粉々に破壊すると、その場には白と黒の残骸が残るだけだった……。

そのご、紙粘土イロクイは強力な黒の力を得て、色んな人を襲った。
対処に零無が出張るほどだったが、肝心の城奈と翠はついに見つからずじまいだった……。

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