黒く染まる黒と白

悪堕ちっぽくない悪堕ち…?? ふたなり要素あります。

アラーム音が鳴り響く。少女が逃げ、それを追うものがいる。
追われているモノの名前は六宮翠。黒の色使いであること以外はいたって普通の小学生だ。
そして追うものは――奇怪な格好をしたまま笑みを浮かべて追っていた。

「逃がさないよ。君が必要なんだ」
「私には、必要じゃないし」
全身黒づくめ――と言ってもスーツではない。全身に張り付いたかのようなぴっちりとしたボディスーツに、青の薄布とコウモリ羽のような頭飾り。靴はハイヒールを履いているにもかかわらず、全く違和感なく走っている。
格好から一瞬、色鬼のにまがい物かと思った。が、すぐに違うと感じた。人間らしい普通の感覚すら感じられない、中性的な不審者は翠を見るなりこう言い放った。

「僕らと一緒に来ないかい? きっと馴染むはずだ」
それに対する翠の返答は一つ。防犯ブザーを引いて投げつけることだった。

いくら逃げても追いかけてくる不審者にいらだつ。この辺は交番が少ない。家までもう少しの距離。
「これでも、食らえ!」
翠は破れかぶれに手をかざし、黒の色を不審者に浴びせかける。
「おっと」
色は薄布を真っ黒に染め上げ、身体にもかかる。普通の人なら悶絶必至の威力、しかし。
「力を使ってくるんだ。なら遠慮しなくても良さそうだね」
不審者は少し足を止めただけで、再び遊ぶかのように追いかける。明らかに不審者の動きは小学生である翠のスピードに合わせて追いかけているのは明らかだった。

「っ!」
それでも十分だった。なぜなら自分の家に逃げ込むことができるのだから。鍵を開け、素早く閉める。次の瞬間、ノック音が何度か響くが、やがて止んだ。

「ふぅ」
「翠! 帰ったらただいまぐらい言いなさい」
間一髪、不審者から逃れることができた翠だが、それを出迎えるのはマナーに人一倍厳しい母である。翠はややうんざりした顔をしつつ、状況を説明した。
「変な不審者に追われてね。さっきのノックもそれ」
「まぁ……それは早く警察に届けないと」
「そうして欲しいね。格好だけど」
「うんうん、格好は――」

翠は母が口を開いた瞬間、嫌な予感を感じた。まさか、しかし、ベターだがあり得るかもしれない。
「こんな格好かなぁ?」
だが、翠の予感は的中してしまった。母親の姿はどろりと溶け、その中から現れたのは、追いかけていた不審者だった。
「今度は逃がさないよ」
不審者は翠より早く手をかざし、黒色を噴出する。
「くっ、むぐぅっ!?」
粘着質の液体は瞬く間に翠を包む。だが、おかしな事に痛みや苦痛は少ない。まるで馴染んでいる自分の色に包まれるようでもあった。

まるで母親の体内に包まれるように、黒い色は居心地良く、翠を諭していく。
「どうして、私なの?」
「どうしてかって?僕たち闇を纏ったものと、君の黒の色は大差ないからだよ。だから君の攻撃にも大したダメージを受けなかった」
「……」
「同じもの同士惹かれ合うし、きみも心の底で闇を抱えている」
「……」
こくりと頷く翠
「だから、解き放とうって訳だよ。ちょっと言い方がまずかったかもしれないけど、僕と君は仲良くなれるはず。無理でも君のやりたいようにやれば良い」
「やりたいように……」
「そう、やりたいように。もう服従する必要は無い。君の能力を十二分に見せびらかすんだ」
「……それなら、ありかも」

そのつぶやきとともに、身体に黒の色が吸い込まれ、吐き出され、包まれていく。色は体中を包み、新たな衣装を形成し、張り付いていく。心も真っ黒に感光していき、これまで隠してきた罪悪感が、快感へと変わっていく。その快感が、使命感に変わっていく。

「さぁ、新しい仲間の誕生だ」

翠を包んでいた闇が消えていき、新しく生まれ変わった彼女の姿があらわとなる。
「……」
翠の姿はぴっちりとしたラバー状のスーツに包まれ、黒の薄布におそろいのコウモリ羽の頭飾りの付いた、不審者の格好となった。その目からはハイライトが消え、何か興奮するかのようににやりと口元が緩んだ。

「これからは何でもやれる。この力を、好きなだけ使えるんだ」
「そうそう、見返してやろう?」

カツン、とハイヒールの音が鳴る。ヒールが床をにじり、音を鳴らしながら玄関のドアを開ける。

そして2人の不審者はそのままどこかに消え去った。
その日、帆布町から少女が1人行方不明になったという。

そんな騒動があった数日後のこと。

「うぅぅ……」
「どうしたんだい?そんな悩ましげな顔して」
不審者――改め咲恵が翠の方を見るも、翠は体をねじって隠そうとする。
「そんなに隠さなくてもいいじゃない」
「大したことじゃない、っと、うわっ」
体をひねった拍子に慣れないハイヒールに足を取られ、翠は尻餅をつくように転倒した。
「あっ、あまり慣れてないのに動くと――あーあ、そういうことね」

その股間には、女性にはあるまじき、竿のようなものが生えていた。竿上の物体はラバースーツに包まれ、密着した状態でひくひくと動いている。
「こんなの、生えてなかったはずなのに……」
「たぶん、力を吐き出したがってるんだよ。ただでさえ強いんだから、君は」
「それはまぁ、そうだけど……」
謙遜することなく受け入れるも、もじもじと股を閉じて収まるのを待つ。だが、いくら経っても収まることなく、却って滾ってしょうがなくなっていく。

「僕が収めてあげてもいいけど――ちょうどいいや、翠、君には他にも仲間がいるんでしょ?」
コクリと頷く翠。
「染めちゃいなよ、この闇の力で、同じようにさ」
「……」
それが裏切りを意味することは、小学生である翠でも承知している。だが、その言葉のとおり頭の中で想像をふくらませると、ただでさえ固くなっていた股間の竿は、ますます熱く、硬さを増していく。

「……ふふ」
「どうする? 我慢する?」
首を横に振り、立ち上がる翠。そして咲恵に返事をしないまま、どこかへと向かいだした。
「ちょっと、どこに行くの!?」
「きらりの家。染めるなら、きらりがいい」

その目はギラギラと野心に満ちていて、まるで獣のようだった。収まりのつかない野性をたぎらせたまま、翠はきらりの家へと向かった。

「おっかしいなぁ、すーちゃんから返事が来ない。やっぱりなにか起こったに違いないのかも」
そのころ、きらりは行方不明になっていた翠に何度も連絡をとっていた。しかし何度メールを打っても返事は帰ってこない。

いつになったら帰ってくるのか、できることはないのか。そう考えていた矢先、窓をノックする音が響く。「きらり、きらり」
「すーちゃん?」
声の導くまま、窓を開けるきらり。窓から入ってきたのは、翠だった。だが、その出で立ちはまるで――噂で流れていた不審者の姿そのものだった。
「すーちゃん!? 何その格好!? それに……」
股間に生えたアンバランスな一物は、ラバーに包まれていてもきらりの目からなかなか離れない。
「(お父さんのよりおっきいかも……)……っ、何が起きたの?イロクイにやられたとか?」
「ううん、イロクイにはやられてない。というか、別のものにやられたというか……」

翠はあがりこむやいなや、きらりの肩を掴み、そのままベッドに押し倒した。
「もっといいもの。闇の力とかそういう……でも、1人じゃ寂しいの」
「すーちゃん……何する気なの?」
翠はきらりのスカートの中に手を入れ始め、パンツを握る。
「いやっ!?」
そして強引にむしり取ると、一物を、身体を寄せ始めた。
「きらりを染めたい。真っ黒に染めて一緒になりたい」
「真っ黒にって……言いたいことはわかるけど……」

きらりは何をされるのか薄々感じてしまった。だが、翠が判らないはずがない。そんな思いも交錯していた。だが当の翠はまるで獣のように体を寄せ、きらりの幼い肉のスリットに差し込もうと、腰を動かし始める。
「や、やめて」
「大丈夫、すぐにおわ――あっ、いいっ、うっ」
こすりつけただけでラバーの肉棒から黒い液体がほどばしり、身体にかかる。
「ひゃっ、熱い……」
黒の色がかかれば痛さを感じるはずなのに、なぜか熱さを感じてしまう。その熱さが体の奥に染み渡るように広がり、薄っすらと皮膚に膜を張っていく。

「まだまだ、いくよ」
「だめっ、これ以上は――きゃっ!?」
押し倒されるように肉の割れ目に入っていく黒の肉棒。触れ合う肌はともに暖かさを感じ、翠の肌は癒着したラバーがギチギチと音を鳴らす。
背中から、接合部から黒い霧が吹き出し、2人の情事を隠すかのように包み込んでいく。
「きらり、いいよ、きらり、っ!」
「すーちゃん待って、また、ひゃあぁっ」
吹き出す液体を体内で浴びるごとに快楽が重なり、身体の黒い膜が濃くなっていく。膜は黒い霧と混じり合い、次第にラバーを形成していき、翠と同じ身体へと変貌させていく。

「きらり、もっと深く……うああっ」
「待って、これ以上先は――」
きらりの静止も聞かず、翠は体を深く、竿ごと付きこむ。
ぶつん、という音が響き、鋭い痛みと鮮血が、黒い霧と交じる。
「―――っあぁぁあああ!!!」
その瞬間、きらりの身体から白いコウモリ羽の飾りが形成し、薄布、ラバースーツを一気に出来上がっていく。まるで一気に転げ落ちるかのように。

「もっと、もっと……」
「っ、すーちゃん、早く。早く出して……」
痛みを堪えつつ、きらりは翠を受け止めようと必死になり、翠は必要に腰を振り、黒い先走りを吐き出し続ける。その限界が、訪れるのも間近だった。

「もう、でる、ううぅぅぅっ!!」
「ああああああああああっ!!!」
黒い液体がドクン、と流れ込んだ瞬間、濃密な闇がきらりの心を真っ黒に染め上げていった……。

「あーっ、すーちゃんに真っ黒に染められちゃったー……なんて」
「…………」
「すーちゃん、たぬき寝入りは良くないの」
デコピンで起こすきらり。
「あいたっ、でも、その……ごめん。耐えられなくて」
「あたしが白の色使いで、こういうのはすぐ治っちゃうの。すーちゃんが一番知ってるから信じてたのに」
頬を膨らまし、怒りを見せるきらりに対し、翠は申し訳無さそうだった。
きらりの持つ白の色は、回復に特化している。特に自己修復力に秀でた色の力は、闇で形成されたラバースーツが足の先からボロボロになっていく。
「ほら、もう治りかけてる。すーちゃんももしかしたら吐き出せば治るかも」
「えっ、でもその……破っちゃったのは」
「大丈夫、たぶんしばらくしたら治るの。それに――すーちゃんが初めてなら、それはそれで悪くないかなって」

きらりに言われ、顔が赤くなる翠。
「さっ、今度はきらりが押し倒す番なの! さっきのお返しなの」

こうしてきらりは自分の回復力を使い、翠から闇の力を吸い取っては回復していった。翠の生えていた肉竿も、ラバースーツも吸い取られるごとにどんどんもろくなっていき、次第になくなっていった。

「ところできらりのおばちゃんは大丈夫?」
「何言ってるの? 今日はPTAの旅行でどっちも夜まで帰ってこないの」
「あっ」

こうして2人は、夜まで仲睦まじくベッドの上でじゃれ合っていたそうな。

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