真畔狼、藍を人狼に変えるの巻

 ~これまでのあらすじ~
 真畔は自宅の道場で修行中、獣人のイロクイに襲われる。
 競り合って負けた真畔は肉を奪われ、色も力を求めるという共通項が噛み合い、混じり合ってしまった。
 果たして真畔は助かるのだろうか!?

 =ロード=
「調子に、乗って……ならこうだ!」
 真畔――もとい人狼イロクイは肉球の付いた手から紫色の塊を放ち、藍の足にぶつけた。

「うっ、足が、勝手に……」
 ぶつけられた藍の足は次第に自分の意思に反し、獣人イロクイの方へと向かい始めた。

「藍!?」
「ごめんなさい、こっちを狙ってくるなんて思って無くて……」

 紫の色は相手を服従させ、操ることができる色。藍の足は徐々にではあるが、人狼イロクイの方へと向かっていく。

「ダメ! しっかり踏ん張って」
「オウオウ、こっちに来い。そして人質になってもらおうか」

 邪悪な笑みを浮かべ、キレを失った攻撃をすり抜ける人狼イロクイ。
 紫亜の懇願をもすり抜けるように藍の足はよたよたとイロクイへと向かっていく。

「この卑怯者! 真畔もこんな奴に乗っ取られるなんて――」
「なんとでも言え! こいつに攻撃を当てたくなければおとなしくしておくんだな」
 そういうや、人狼イロクイは藍を抱きすくめる。

「真畔ちゃん、目を覚まして! そんな野蛮なイロクイなんかに負けないで」
「野蛮となぁ」
 ギロリとにらみつけるイロクイ。それだけで心臓を握られたようなプレッシャーを感じるが、まだひるまない。ひるんでは、自分まで負けてしまう気がしたからだ。

「良いだろう、なら野蛮な一面を見せてやろうか!」
 そう言い、イロクイは獲物の木刀を捨て、爪を藍の背中に向けて裂いた。
「ひっ!?」
 ビリビリに破ける上半身、そして逃げないよう掴んでいた片方の腕が、パンツをスカート後と引きちぎる。
「あ、あぁ……!?」
「藍、早く逃げて! 色を使って治せないの?」
 必死に逃げようとする藍だが、足がおぼつかない。

「ふんっ!」

 ビリビリィッ! という音とともに、真畔の服も弾ける。毛皮に覆われた大胸筋が、女性らしさよりも獣人らしさを際立たせる。

「そ、それが、体がこわばって……」
「身体が? ううっ」
 藍の言葉に、紫亜が確信を持ったのは人狼イロクイが自らの服を破った瞬間、色の力が増した。抵抗力が失せ、手足一本すら動かせない。

「そこで見ていろ、色使いを染め上げる瞬間を!」
 藍の腕をねじ上げ、そのまま両手を掴んで上に持ち上げる。
「えっ」
「……!!!」
『ダメ!』といいたかったのだろう。だが、紫亜の声は発することができぬまま、藍の身体はそのまま――。

 ずぶっ、ぐぐぶつぅっ!!!

「……???」
 一瞬、何が起こったのかわからなかった。だが、駆け上がる痛みと、突きこまれた『本来女の子にあるはずのない肉棒』は、起こった現実を如実に物語っていた。
「あ、あああああ……いやあああぁぁっ! 離して! やめてええ!!」
「ハハハ! 抵抗できまい。だがまだまだこれからだ!」

 何度も突き上げ、シェイクする人狼イロクイ。藍は吐き気をもよおしそうになりながらも死に物狂いで抵抗するが、まるで糸の切れたマリオネットのように、なすがままに抽送を繰り返されていく。

「や、やめて……」
 ずっずっ、ずぐっ、ぐっ、ずぐっ!
「やめてください……う、うぅぅ……」
 ずぐっ! ぐっ! ずぐっ! ずぐっ!

 何もできない。足を引っ張ってばかりしか無い自分の情けなさ。そしてイロクイに蹂躙されるだけの純潔に。次第に抵抗も売れていき、身体もなすがままにされていく様に、藍の身も心も崩壊寸前に陥っていた。

「さぁ染めるぞ、受け止めろ!」
 藍は答えない。答えられなかった。抽送の勢いはさらに早まり、根本が膨れ上がっていく。いよいよ出すのだと分かっていても、何もできない―――。

 どぷっ、どくっ、どくっ、どくっ……。

「あっ、あー……」

 藍の目から涙がこぼれ、光が消えた瞬間、手足がむず痒くなりだす。
「(なに……もうこれ以上何も起こらないで……)」
 手足は獣のものにかわり、一気に胸や顔、全身に至るまで骨格が変わり、マズルが伸び、耳が生えだす。人間から獣の容姿に変わっていく。
「(あぁ……もういいや……これで終わりなら、もういいや……)」

「あおおおおおおんっ!!!」
 藍の鳴き声はどこか物悲しく、決別を告げるようでもあった。

「ハハハ! いい格好になったじゃないか」
 橙色の毛並みに覆われ、メガネを掛けたままの人狼は、どこか艶っぽさを持ち、しかし橙の目には光がなく、ただ本能のまま真畔だった人狼イロクイに付き従う素振りを見せていた。

「そ、そんな、藍が狼人間に……」
 色の気配が失せ、顔を真っ青にする紫亜。このような事態に遭遇したことがなかった紫亜はどうしたらいいのかわからず、困惑するしか無かった。

「よいしょ、さて、終わったところでちょうどいい。舐めてもらおうか」
 鼻先に一物を突きつける真畔だった人狼イロクイ。その横で藍だった人狼イロクイがまだ体の熱さを持て余すかのように、真畔だった人狼イロクイに濡れそぼった腰を擦り付けていた。
「う、うぅぅぅ……」
「早くしないか。それとも、助けが来るとでも思ってるのか?」
「えぇ、きっと来るわ。だからやらない。そのまま突きつけてなさい」

 チッ、と言わんばかりの表情を魅せ、爪を振り上げる。
「なら血をすすって、色を変わりに流し込んでやる!」
 振り上げられた爪が紫亜に向けられたその時、気配を感じた人狼イロクイはとっさに紫亜から離れた。

「危うく一物をしゃぶるのではないかとヒヤヒヤしたぞ」
「そ、そこまではしたなくないですから!」

現れたのは零無だった。紫亜と藍で対処できるものかと思っていたものの、状況が悪くなるやあわてて駆けつけた。
捕食者である色鬼が相手となると分が悪い。それをイロクイの本能で悟ったのだろう。色鬼は逃げの姿勢を取る。

「今日は一旦引いてやる。だが、必ずこの街を俺の色で満たしてやるからな」
 そう言い残し、藍だったイロクイを連れて人狼イロクイはどこともなく消え去った。

「藍……」
「仕方ない。犠牲が2人で済んだものと思うほかない」
「でも!」
「お前も巫女だろう、割り切らんか」
「……」

 必ず助けると心に誓い、その場を後にする紫亜。周りは何事もなかったかのようにざわめいていて、不気味ささえ感じていた。

 藍と真畔だったイロクイの行方は、未だわかっていない。
 分かっていなくても街は動き続けている。

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