しろくろにっき

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妙な色と見えぬ真相

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巻き込む色と鏡の中のイロクイ

旧作から引っ張ってきたもの。
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奔放な色使いと黒と紫の苗床

「――というわけで、最近妙なイロクイがあちこちでうろついておる。これを克服するには全員でかからねばならないわけじゃ」 いつもの放課後、いつもの布津之神社の昼。零無は本片手に目の前にいる色使い達に話をしていた。  イロクイとはそもそも、知性を...
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#17 邪悪な色は夢で交わる

私は夢を見る。しかもひたすら嫌な夢だ。あの時、失敗しなければ、邪魔が入らなければ、私は――。 ザザッ 『美奈子ちゃんじゃ無理』 ザザッ 『オマエ、オイシソウ』 ザザッ 『やっぱ四谷さんと仲良くしたほうが良いよね』 許せない。許せない。許せな...
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#16 そして、新たな色が綴られる

「か、勝ったぁ」「ふぅ」上に空いた大穴を見て安堵する翠ときらり。橙藍鬼が逃げたかどうかに付いて定かではない。だが、危機が去ったというそれだけで、色使いたちは勝利の余韻よりも先に疲れが一気に吹き出した。「強かった、それに……」「被害も大きいの...
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#15 色の撒かれた地へ

「なに、これ……」「なんだかこわい……」 帆布中央病院に足を踏み入れた翠ときらりの第一声は、恐怖と混乱の入り混じったものだった。 玄関口は様々な色をぶちまけたかのように飛び散ったり人の形をとっており、奥に行くにつれてそれが如実に増えていく。...
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#14 再会は歪んだ色を纏いて

「(なにか手はないのかな、ないのなら、いっそのこと……)」翠にとってきらりは唯一無二の友人だ。彼女を失うぐらいなら自分自身を失ってもいい。そんな思いを巡らせつつ、ゆっくり近づいてくるきらりに向き合居続ける。纏っているものも、表情も、行動もす...
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#13 白色を邪に染めて

帆布中央病院。そこは病院でありながら、人の気配が微塵も感じられなかった。あるのはあちこちに飛散した色と、人の形をした色水たまりの数々。シロクイの襲撃と地脈から噴出した色の直撃を受けたこの病院は、あるものは体が耐えきれずに肉体が消失したり、変...
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#12 色を成さない色

時は少し戻り、きらり一行が柱の破壊に向かった頃、紫亜とサン、そして零無は暴走する朱音――もとい健児と向かい合っていた。紫亜に組み付いた健児の力は鍛えている紫亜を持ってしても辛い。気を抜けば弾き飛ばされてしまうだろう。 「紫亜、できるだけこい...
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#11 邂逅、多色の鬼

「城奈ちゃん、なんとかできそう?」「大丈夫、これを引っこ抜いて…えいっ!」地脈に打ち込まれた杭はそこまで深いものではなく、子供の手でもあっさりと抜けた。城奈がその杭を壊すとあたりの空気が一瞬ぶれ、和らいでいく。「これでよし、きらりちゃん。紫...