しろくろにっき

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#10 色禍色災(しきかしきさい)

次の日、一行は布津之神社に集まっていた。翠が共闘にOKを出したため、紫亜によって集まる機会を設けることとなった。その初回が今日にあたる。「おはよーなのね!」「おはよう城奈、それに六宮さんと七瀬さんも」「おはよう……城奈だけ呼び捨て」「何かそ...
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#9 消えた色と街の彩り

今日は日曜日、翠はぼんやりとリビングのテレビを見つつ、用意されていた朝ごはんを食べていた。「今日のニュースはネットで話題のこのワンちゃん!」「……」「あの有名なパン屋が帆布センター街に出店!さっそく――」「……」「人々を石にするなんて、絶対...
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#8 隠された色

紫亜は翠ときらりを送ったのち、神殿に戻る。和室の近くにあり、神社の土地神であり色神――すなわち零無を祀まつる場所であり、彼女の寝室でもあった。「色神様、あれでいいんですよね?」「まぁ、あれでいいだろう。あぁいう他にない。思った以上に闇を抱え...
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#7 色のない獣と暴走する色

鎮守の森は布津之神社の裏に広がる広い森だ。どれだけ広いかというと、きらりいわく公園の森より広いと聞く。紫亜を先頭に翠達は報告を受けた変なイロクイを退治するため、鎮守の森へと足を踏み入れる。「ここにはおとなしいイロクイもひっそり生活していた―...
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#6 見し聞きし歴史の色

「で、この神社が今回の目的地……と?」「うんうん、今日はここの巫女さんがお話しするから翠ちゃんもどうかなって」「いやどうとか言われても……きらりが案内したところだしなぁ」翠ときらりが今来ているのは布津之ふつの神社。帆布市が「色淵」と「筆咲ふ...
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#5 あの日の色は

某日、三隅 藍と一ノ瀬 健児は橙藍鬼に襲われた。橙藍鬼――色の生命体である『色鬼いろおに』とともに現れたのは、白い怪異『シロクイ』だった。 「なんだよこのバケモノ、気持ち悪ぃ」「こんなイロクイ見たことない……いいから逃げて!」 藍は戦闘力に...
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#4 作戦開始は黒の色

城奈が朱音と名乗った健児を見送る一方、状況は悪化の一途をたどっていた。 『……!!』『ヒヒヒ!』人体模型は相変わらず固まった臓器を抜き取っては入れ替え続け、ついには手や腕も引っこ抜いては入れ替え始める。サイズが明らかに違うが、それでもぴった...
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#3 惑いを誘う一条の色

「授業の前ですが、先生の大事なSDカードを探してます。廊下に落とした可能性もあるので、見つけた人は先生に届け出るように」 その先生の声に浮かない顔を見せるサン。 「(もしかして、さっきのカードは……)」 そう思うとうかつに出すわけもいかない...
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#2 3つの色と転校生

どこの世界にもいろんな考えがあると思う。が、そうなると自然と人が集まってくる。いわゆる『カリスマ』とか『派閥』とか呼ばれるものが、私の教室にも存在していた。 1つは『四谷派』市議会議員の子である四谷 城奈よつや しろなを中心とした派閥で、よ...
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#1 始まりの色は日常

「この街を騒がしている不思議なアート。今度は帆布はんぷ市の路地裏で見つかりました」「いやねぇ、趣味が悪い。 ……翠ちゃん、そろそろ起きないと遅刻するわよ!」「わかってる」 眠気をこらえつつ階段を下りる黒髪ウェーブの少女、やや跳ねているのは地...